主に朱殷更新情報 あとは気まぐれ
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雑然としたレストランの中の一角、約束した場所に男はいた。眼鏡に、割合マトモに見えるスーツ姿。足元には大き目のアタッシュケースが鈍く銀に光っている。俺は一つだけ、息を大きく吐いて、男の元に向かった。此方の緊張を悟られぬ様、表情を必死に消す。
側に直立するとちらり、と男が俺を見た。
「…モモ」
「クリ。遅れて済まない」
手早く合言葉を確認して俺は席につく。
男は品定めしているのか不躾な視線を俺に向ける。黄ばんだランプに照らされているのも要因があるのか、凄味がある。
随分長い間そうされて、俺は仕事とは少々ずれた事に気を揉んだ。例えば服が、いけないのだろうか。もう少し一般人に溶け込みやすい格好にすれば良かった。
嫌味の様なガンつけは居心地が悪い。仕事でなけりゃ、こんな奴。
早いところ済ませてしまおう。
「金は」
「400」
俺は眉をひそめた。
「……わりが合わないな」
男はしれっとした口調で反駁する。
「ふん、迷惑代と足代が差し引かれたと思っておけ」
馬鹿にした言い様に苛立ちが込み上げたが、ぐっと抑え込んだ。
地位は明らかに男の方が上であるし、これから俺はこの男を騙さなければならないから。提示された値でも十二分にもとはとれる。粘らず、指定された金額をのむのが得策だろう。
「…解った」
男が口の端を軽くあげて笑う。契約成立、回りに俺達の行為に気付く奴は一人もいない。相変わらず騒々しい店内は寧ろ俺達の為に騒がしいんじゃあないかとすら思えた。水を運んで来たウェイトレスも別段不審がった表情を見せなかった。
水を口に含む。緊張が少し抜けた。もうすぐ終わる、という安心感も否めない。
「じゃあ、」
俺は鞄を差し出し、同じ様にしていた男の鞄を受け取る。
会釈をして立ち去ろうとすると、待て、と呼び止められた。
「まだ、中の確認をしていない」
つう、と背中を嫌な汗が伝った。
こっそりと、盗み見る様に鞄を開けると、男はごそごそと手を動かしている。まじかよ、話と違う。今、この場で、コイツは商品を味わって、確認するつもりなのだ。バクバクと脈打つ心臓が今日はいつもより耳に近い。
じりじりと、足は既に出口に向かっている。
偽装は完璧な筈なのだ――バレない自信が、無いだけで。
しかし、ぺろり、と指先を舐めて、男は顔を上げた。
見てとれるのは失望。
「馬鹿か、お前…」
男は憤りを隠さず、言った。商品に浸けた指がべったりと赤い。
「ふざけんなクソが。これは…これは桃ラーじゃあない!!」旨味が違う!
…
すみませんでした(´A`)
稀少価値の桃ラーの闇取引現場でした(笑)
桃ラー食べてみたい。取り敢えずバッタモノのうまいラー油はガチで旨かったから本家はどれだけ旨いのかな…と。ラー油ご飯でも旨かったですよ。
側に直立するとちらり、と男が俺を見た。
「…モモ」
「クリ。遅れて済まない」
手早く合言葉を確認して俺は席につく。
男は品定めしているのか不躾な視線を俺に向ける。黄ばんだランプに照らされているのも要因があるのか、凄味がある。
随分長い間そうされて、俺は仕事とは少々ずれた事に気を揉んだ。例えば服が、いけないのだろうか。もう少し一般人に溶け込みやすい格好にすれば良かった。
嫌味の様なガンつけは居心地が悪い。仕事でなけりゃ、こんな奴。
早いところ済ませてしまおう。
「金は」
「400」
俺は眉をひそめた。
「……わりが合わないな」
男はしれっとした口調で反駁する。
「ふん、迷惑代と足代が差し引かれたと思っておけ」
馬鹿にした言い様に苛立ちが込み上げたが、ぐっと抑え込んだ。
地位は明らかに男の方が上であるし、これから俺はこの男を騙さなければならないから。提示された値でも十二分にもとはとれる。粘らず、指定された金額をのむのが得策だろう。
「…解った」
男が口の端を軽くあげて笑う。契約成立、回りに俺達の行為に気付く奴は一人もいない。相変わらず騒々しい店内は寧ろ俺達の為に騒がしいんじゃあないかとすら思えた。水を運んで来たウェイトレスも別段不審がった表情を見せなかった。
水を口に含む。緊張が少し抜けた。もうすぐ終わる、という安心感も否めない。
「じゃあ、」
俺は鞄を差し出し、同じ様にしていた男の鞄を受け取る。
会釈をして立ち去ろうとすると、待て、と呼び止められた。
「まだ、中の確認をしていない」
つう、と背中を嫌な汗が伝った。
こっそりと、盗み見る様に鞄を開けると、男はごそごそと手を動かしている。まじかよ、話と違う。今、この場で、コイツは商品を味わって、確認するつもりなのだ。バクバクと脈打つ心臓が今日はいつもより耳に近い。
じりじりと、足は既に出口に向かっている。
偽装は完璧な筈なのだ――バレない自信が、無いだけで。
しかし、ぺろり、と指先を舐めて、男は顔を上げた。
見てとれるのは失望。
「馬鹿か、お前…」
男は憤りを隠さず、言った。商品に浸けた指がべったりと赤い。
「ふざけんなクソが。これは…これは桃ラーじゃあない!!」旨味が違う!
…
すみませんでした(´A`)
稀少価値の桃ラーの闇取引現場でした(笑)
桃ラー食べてみたい。取り敢えずバッタモノのうまいラー油はガチで旨かったから本家はどれだけ旨いのかな…と。ラー油ご飯でも旨かったですよ。
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